「編み編むダーナ」の会

 ダーナとは、インドのサンスクリット語で「与える」という意味で、日本では檀那様や檀家、布施、つまり「施す」意味での日本語として使われています。ダーナは分け隔てなく思いやりを育て育む為、寛大な心を育てる為のとても高貴で有効な一つの行法です。

 この度の東日本大震災度では、この日本人のこころに根付くダーナの精神性から様々なボランティアの方々が東北を訪れ、復興に向けて一筋の光明をもたらしました。その中の一人にニットクリエイターの梅村マルティナさんがいます。

 マルティナさんは、「つらくて何もしたくないときに、毛糸があれば編むことで少し気が楽になるのでは」と毛糸と編み方のレシピを宮城県の気仙沼の避難所に送りました。気仙沼に通う活動を通して被災地の方々の復興に向けて仕事の必要性を感じ、気仙沼にニット工場を設立したのです。

 西真寺の坊守は、このダーナの行為とマルティナさんの作品に触れ、いたく共感しました。マルティナさんの毛糸と作品を通じて、ご門徒さんと編み物を編みながら、関係性を築き、それぞれの家族に作品を与え、微力ながら被災地復興のためのダーナの行為として企画したいということでした。

 坊守は、文化服装学園のニット科を卒業しており、講師の資格もあり、この冬の安居には、ふさわしい内容であると考えご案内します。

合掌

2017年12月 信飯山 西真寺 住職 本荘 直広